レンズの収差問題が数学的に解決? 安価で超高性能なレンズが開発可能に?

レンズの収差問題が数学的に解決? 安価で超高性能なレンズが開発可能に?

レンズの収差が完全に解決してしまう?

「古代ギリシャの科学者であるアルキメデスが凹面鏡で太陽光を集めて敵艦を焼き払った」という伝説がある通り、光学の歴史の始まりは2000年以上前に遡ります。そんな光学の歴史上で人類が2000年以上も解決できなかった「レンズの収差の解消」という難問をメキシコの大学院生が数学的に解決したと報じられています。

反射鏡やレンズに入射した光は、屈折または反射することで光軸上の1点に収束すると理論付けられています。しかし、現実にあるほとんどのレンズは加工の問題で表面が球面の一部となっているため、実際にはすべての光線を1点に集光することはできません。そのため、解像力を上げようとレンズの口径を大きくすると、像がぼやけてしまうことがあります。この光線のズレが起きる現象を「球面収差」と呼びます。

1949年には、「完全に球面収差を解消したレンズを解析的に設計するにはどうしたらよいのか?」という問題が数学の世界で定式化され、「Wasserman-Wolf問題」として取り扱われてきました。

メキシコ国立自治大学で博士課程の学生であるラファエル・ゴンザレス氏は、以前からレンズと収差の問題について数学的に取り組んでいた一人。ゴンザレス氏によると、ある日の朝食で一切れのパンにヌテラを塗っていた時に、突然アイデアがひらめいたとのこと。「わかった!」と叫んだゴンザレス氏は湧いたアイデアをそのままコンピューターに打ち込んでシミュレーションを行ったところ、球面収差を解消できていたそうです。「あまりのうれしさに、いろんなところに飛び乗りました」とゴンザレス氏は語りました。以下の非常に複雑な数式が、レンズの表面を解析的に設計できる公式だそうです。

その後、ゴンザレス氏は同じく博士課程の学生で研究仲間であるヘクトル・チャパッロ氏と一緒に500本の光線でシミュレーションを行い、有効性を計算したところ、すべての結果で得られた平均満足度は99.9999999999%だったとのこと。以下は、ゴンザレス氏(画像右)が解析的に導き出した球面収差が解消されたレンズの図(画像左)です。

(記事を一部引用しています。画像クリックで拡大します。)

 

 レンズの収差を数学的に解決できてしまったそうです。これだけ記述すると、なんか数学的に様々な収差が簡単に解決してしまったということのように聞こえますが、ちょっと違うみたいですね。あくまで当ブログによる解釈ですが、以下のようになっているようです。

<<下に記事が続きます>>


数学的に解決したのは球面収差のみ?

 記事をみると収差としているのは、球面収差だけのようです。収差には色がにじんだりとか、画像がゆがんだりとか様々な収差があるわけですが、今回のこの論文で解決したのは球面収差だけのようですね。この球面収差というのは、説明が難しいのですが、レンズは基本的に球面として作成されるので補正がうまくできず収差が発生してしまいます。よく、高価なレンズなどで非球面レンズ採用というレンズがありますが、これはレンズを球面ではなく微妙に変化させたレンズを作ることで収差を解消しているわけです。

 で、今回の発明ですが、当ブログの解釈ですが、どうやらレンズを部分的に球面的な加工をすることで、その球面収差を解決する方程式を作成することができたようです。

 具体的には上記の画像のようなレンズになるようですね(画像クリックで拡大します)。これは、もちろんそのままのレンズではなく、大げさに表現したものだと思いますが、部分的に異なる半径の球面を組み合わせるような形にして解決しているようです。

 レンズを分割すると、それぞれの部分がそれぞれ球面になっていて、そして加工がしやすいというようなレンズになっているようですね。

 ですが、これによって球面収差を解決できたとしても、その他の収差は悪くなってしまうという可能性も考えられますので、全体的なバランスとしては未知数である可能性はあります。ただ、これでレンズの製造が簡単になる可能性があるのなら、かなりレンズにとって楽しみな研究結果といえそうですね。

 詳細は本記事下部の記事元リンクからどうぞ。


(記事元)https://gigazine.net/news/20190708-aberration-problem-solved/

ニュースカテゴリの最新記事