“ニコンはミラーレス参入が3年遅かった” 判断遅れ指摘 利益率低い体質

“ニコンはミラーレス参入が3年遅かった” 判断遅れ指摘 利益率低い体質

現在の社名であるニコンを初めて製品名にしたカメラを1948年に発売してから71年。ニコンの代名詞であるカメラ事業が揺らいでいる。デジタルカメラの販売台数シェアでソニーに抜かれ、2020年3月期は100億円の赤字(前期は220億円の黒字)と現在の事業区分になって初の営業赤字に転落する見通し。カメラの市場縮小が止まらない中、構造改革を進めつつ、工作機械への新規参入など新たな成長策を模索している。

特に響いたのが、ミラーレスカメラの出遅れだ。小型軽量で高画質の写真を撮れるミラーレスは、一眼レフの顧客を侵食していった。一眼レフを持たないソニーやオリンパスが集中投資する一方、一眼レフで高いシェアを握っていたニコンは参入が遅れた。18年にようやく本格参入した時にはすでに先行勢が市場を抑えており、ソニーはレンズも含む豊富な製品群で囲い込んでいた。デジカメの販売台数は長らくキヤノンに次ぐ2位の座を守ってきたが、今期の各社の計画ではそのソニーに抜かれる見通しだ。

ニコンはもともと競合のキヤノンに比べてカメラ事業の利益率が低い。キヤノンのカメラ関連事業の営業利益率が18年度までの5年間で平均14%なのに対し、ニコンは9%。キヤノンはほとんどの部品をグループで内製していることや高い生産技術で原価率が低い。損益分岐点が高いところに、販売台数減で売り上げが減少し、一気に収益が悪化した。

止血策として今期と来期に合計100億円程度を投じて構造改革を進める。人員や生産設備の削減などで事業運営費を500億円減らし「22年3月期以降は資本コストを上回る利益を安定的に確保できる」(馬立社長)。ミラーレスもプロや趣味用途の客層に集中する。従来の高級機2種に加え、22日には中級の「Z50」を発売。レンズも含めてラインアップの拡充を急ぎ、収益を確保する。

市場では「ミラーレスも工作機械も参入がもう3年早ければ、収益構造の変化を期待できた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希氏)と経営スピードの遅さを指摘する声もでている。キヤノンは16年に約6655億円を投じ、旧東芝メディカルシステムズを買収するなどビジネスモデルの転換を進めた。連結売上高に占める新規事業の比率は今期30%近くに達し、カメラ事業の収益悪化を下支えしている。

(記事を一部引用しています)

ニコンがカメラ販売で3位転落の見込み

ニコンに関する記事が日経新聞で公開されています。記事によればニコンは長らくキャノンに続いて2位の座にいたわけですが、今期はいよいよソニーに抜かれる可能性が高まっているようです。ニコンは一眼レフの販売が好調ですが、コンデジ、ミラーレスではソニー以上の売上げを得ることができず、このまま3位に転落する見込みが強まっているようですね。

そして記事では、ミラーレスも工作機器事業も3年早ければなんとかなったかもしれないとして、経営スピードが遅いと指摘されてしまっています。キヤノンもそうですが、ニコンも一眼レフからの収益を最大化しようとしたのでしょうかミラーレスへの参入へは遅れてしまいましたね。確かにあと3年間早ければなんとかなったかもしれません。いきなり完璧な物でなくていいので、Nikon 1の技術でAPS-Cミラーレスあたりから参入しておけば、今頃は高い人気を得ていた可能性がありそうですね。

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驚く利益率の悪さ

記事をみて驚いたのは、ニコンのカメラの収益率の悪さです。キヤノンは平均14%もあるのに、ニコンは9%しかありません。同じカメラメーカで5%も差があるとは思いませんでした。ニコンは部品を外注している割合が高いこともあるのでしょうが、しっかりした造りの筐体だったりするので、そういう製品品質という点においてかなりお金を掛けているというのも理由の一つと考えられそうです。

記事の中に日経らしく損益分岐点という言葉がでていますが、その観点からみてみましょう。

(画像クリックで拡大します)

横の軸が製品の販売台数で、縦の軸が金額です。わかりやすいところでは売上高のグラフ(赤色の線)から見ていきます。これは製品を販売することで得られる金額です。販売台数が多いほど、たくさんの金額を得られることになります。1台も売れなければ0円なので金額も0円です。台数が売れるほど得られる金額が多くなるので右肩上がりに上がっていきます。

もう一つは固定費です。オレンジ色の四角形の部分です。固定費というのは製品を売る売らないに関わらず自動的に発生するコストです。どういうものかというと、例えば家賃、正社員の人件費などがこれにあたります。これは製品を作らなくても毎月、自動的に発生するので販売台数に関わらず一定の金額になります。

そして最後に変動費(青色の線)です。変動費というのは製品を製造するのに必要なコストです。例えば部品を購入する必要があるので、その部品仕入れ費用や原材料費、機械を動かす必要がある場合や製造に水を使う場合には水道光熱費も変動費に入る場合があります。このように製品を1個つくるのに1個ごとに必要になるコストを変動費といいます。

会社全体が支払う費用は、固定費+変動費になるので変動費の青色のグラフは固定費の上から始まります。製品を作れば作るほど仕入れ代がかかりますので、これも右肩上がりになります。

そして、この売上高のグラフと、変動費のグラフが重なる点が損益分岐点です。つまり、売上高が経費の合計を超える販売台数のところが損益分岐点になります。これだけの販売台数を販売して利益としてはトントンで、この時点ではまだ利益は0円です。ここから製品が売れて初めて利益が増えるということになりますね。

で、もし製品の利益率が高いとこういう状況のグラフになります。

(画像クリックで拡大します)

このように製品の利益率が高いと製造コスト(=変動費)の割合が少ないということになるので、変動費のグラフの傾きが緩やかになります。そうすると、ほんの少しの販売台数でもあっという間に固定費+変動費の合計金額を上回ることができるので、赤字になりにくいということになるわけですね。

今は市場が小さくなりカメラを購入する人が少なくなっているわけですので、この数%の差というのは非常に大きな差として降りかかってくると思います。魅力ある製品で販売台数が多ければ問題ないわけですので、コスト削減ももちろん重要ですが、できるだけいい製品を作って売上げを伸ばすようにしていければいいなと思いますね。

詳細は本記事下部の記事元リンクからどうぞ。

(記事元)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52720080Y9A121C1000000/

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